| About This Diary | R20/1PL複数PC/半完虚実混合 日常, 思想, 陰鬱悲愴/ネットミーム, スラング/炉留描写, 惚気(NSFW含, 都度折り畳み有)/言語混合(日文,英文)/口調呼称等 捏造自己解釈大いに含む/本文内検索避け無し エゴサワード「LABYRINTH」「L82」等 ↓連絡、コンタクトはこちらから MAIL BOX |
| ‘WHO WANTS TO GET CRAZY FOR NEW YEARS?’ “YEAHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!” ─── I hope you will have a great year! 君達と新たな年を迎えられたことに大きな感謝を。 さて君達も薄々お察しだったかとは思うが、私はと言うと新年早々、日記の移行先を探し回っていた。そして今漸くここに漕ぎ着き、再び我が城を構えることが出来たというわけだ。相変わらずHTML直打ちおじさんの二つ名は健在、CSSなんか使っちゃいないので、復元には然程時間も掛からない。わざわざ鍵を掛けるほどでもないね。今日からもうフルオープンで行かせて貰うよ。改めて、ここでも当日記を御贔屓に! 日記そのものは名前もレイアウトも運用方針も基本的には変えるつもりは無いが、ひとつ明確に変えようと考えていることがある。去年から今年にかけて起きた大きな変化が深く関係しているので、今回はその話をしよう。 12月31日、私 Vox Akumaに、晴れて恋人が出来たことをここに報告させて頂く。 相手の名前などの詳細を今は伏せさせて貰うが、私のことを愛情深く一途に想ってくれていて、その上とても魅力的で可愛らしい子だよ。 移行前の日記を読んでくれていた者はきっと知っていることと思うが、私は過去の恋愛と愛していた子に囚われ、ずっと立ち直り前を向くことが出来ずにいた。それで約1年半の月日が経ったわけだが……この度良き出会いがあり、自分自身の酸いも甘いも呑み込みやっと自分の感情を清算して、少し前に進むことが出来た。私に忍耐強く向き合い暖かく受け入れてくれたその子は勿論、今までにも私を見守り支えてくれた人々、交流してくれた人々、友人達にも──心の底から感謝している。こうして私が新たなスタートをきれたのは皆のお陰だ。本当にいつもありがとう。THANK YOU SOOOO MUCH!! この件を言うか否か実はギリギリまで迷ったが、この日記の文字列は私そのもの、恐らくどうしたって隠してはおけないと思ったんだ。多分今の私は少しばかり浮かれているしね。でもまァ、パートナーが居ても居なくても私自身は何も変わらないので、特に大きな変化は無いよ。私は私だ。以降ここで大っぴらに話題に出すつもりも無いし、君達も特に気にせず引き続き読んでくれると幸い。 そういうことで当日記の基盤こそ変わらないが、これからは過去よりもより今と未来に焦点を当てた運用をしていきたいとは考えている。そしてこれは新年の目標のひとつ、あの子のことも自分のことも幸せにしてあげたい。そうしてどうか、暖かく永く続く愛を。……以前の日記は人探しの側面と過去への自責の念が強かったが、これからは私が生きている‘今’の息遣いを刻む場にしていきたいなと思っているよ。移転もしたことだし心機一転、少しは新しい風を入れられると良いのだがね、HEHE では、移行後1発目の投稿はここまで。話したいことが他にもあるが、それはまた追々書いていこう。まだまだ寒い日が続くよ。Please take care of yourself. 自分に優しくね。 Sweet dreams. Goodnight! |
| 👹🧧 | 12:30・04 Jan 26 慌ただしい年末を過ごしたものの、年始にのんびりすることもなく。時差ボケと生活リズムを立て直しながら作業と配信をして、日常に身体を戻しているところだ。休む時はしっかり休むべきと思いつつも、結局はずっと正月気分でも居られないからね。黙っているとどうにも落ち着かない。 去年から今年は意図せず随分とワーカーホリックな休暇を過ごしたが、休暇が長くなればなるほど戻るにも時間が掛かるので、今回はこれで良かったのだと思う。今年も今年で既にやるべきことが目前に見えているし、新たな挑戦に挑む大事な1年になっていくだろうからね。自分のペースで、しっかり地面を踏み締めて進んでいこう。 |
| 👹🧧 | 13:03・04 Jan 26/陰鬱If in a rush to chase, it won't last long.Once I let my guard down, the boundary between myself and others immediately becomes blurred—That's my f*ckin’ habit of tormenting myself. Too selfish. |
| 👹🧧 | 20:41・04 Jan 26 即物的な感情に行動を支配されてしまうのは余り良くないと分かりつつも、自分可愛さに己の感情をどうにも恨みきれない。これでも他者に迷惑を掛けることなく、セルフケアに徹しているのだから多少は許されたいところ。……大人になったって駄々を捏ねたい時はある。童心忘れるべからずともよく言うじゃないか。 明日は、社会の時の流れが急速に動き始める日だ。寝起きは無理せず。ゆっくりとまずは起き抜けの1杯で、自分のご機嫌取りから始めようね。では、今宵君達がよく眠れますように。Sleep tight tonight♡ |
| 🦁💰 | 22:37・06 Jan 26Way too cold./陰鬱寒い。寒い、──寒い。凍えそうなくらい、手足の指先に血が通っていないみたいに冷たい。部屋は暖かくしているし服もちゃんと着ている。でも、とにかく寒くて寒くてしょうがないんだ。これはおれも悪くないし、誰が悪いわけでもない。強いて言うなら寒気の所為、かも。冬なんだから当然なんだけどさ、でも、こう……そうじゃないじゃん。そういう意味じゃなくて。君はちょっとでもわかってくれる? ……何言ってるかよくわかんない? そっかぁ。 知ってる? この時期ってひとの命の炎が少し弱くなるの。いつもならちょっとやそっとの衝撃でも消えない炎だって、この時期は覚束無くて、軽く吹いたらうっかり消えちゃうこともある。人間がデリケートになりやすい時期なんだ。冬の夜なんてその最たるもの。だからいつもなら我慢出来たハズのものが耐えられなくて、孤独感に心を支配されて──あっという間に体温が下がって、ほら、暗転。どうしようもないんだ、だってひとはこの寒さには抗えない。どんなに暖かくしたって、ふとした時に隙間風は入り込む。部屋にも、心にも。そうして風はロウソクの炎を悪戯に揺らす。人々が気づかない程、静かに巧妙に。 おれが今悲しくてしょうがないのは寒さの所為。おれの心に冷気が入り込んで、芯から冷やそうとしているみたい。漠然とした悲しさ、震える手──誰か、誰か抱き締めて欲しい。おれのロウソクの炎に冷たい風が吹いて、涙が落ちる。消えることは無いけれど、炎が大きく振られて冷静じゃいられない。誰かおれを暖めて。寒くて寒くて、寂しい。 ベッドの中にもぞもぞと蹲って、ぬいぐるみをぎゅうと抱き締めて、ただ炎が落ち着くのを待つ。冬は長いし夜も長い。でも、負けるわけにはいかないから。……ねぇ、おれの傍に来て。君の体温で暖めて、大丈夫だって言ってよ。 |
| 🦁💰 | 15:51・08 Jan 26 さ、寒ゥ~~~い!!!!! 家を出て随分時間が経ってからベルトを忘れたことに気づいたおれだよ。なんか今日やたらとズボンが緩いなぁって思ってたけど、おれが急に痩せたんじゃなくて良かった。いや、腰回りがカポカポしてて全然良くないんだけどさ。多分この所為で一層寒いんだよ! か、風がズボンの中を通り抜ける~!! 引越しが終わって色んな日記を眺めていたら、早速おれを本棚に入れてくれてるの見つけて超~HAPPY!! POG YOU!! THANK YOU!! FIND YOOOOOOU!!!!! また見つけてくれてありがとう、おれも君のこと見つけたYO! 【Personal message】スイムすぺ〜すの、イッテツ!本棚入れてくれてありがとう、今年もよろしくね!! おれもまた君の日記が読めるの凄く嬉しいよ。楽しみにしてる! ね、ね、寒いとさ、心にまで風が吹き込んできちゃうよな。片隅に追いやっていた感情が、急にここぞとばかりに表れて頻りに声を掛けてくる。マイナスな感情って相手にするまで居座るから、とんだ‘かまちょ’だし飼い慣らすのも一苦労だよ。 おれが君にもっと構って構って~!! ってワシャワシャしたら、君を占める感情もびっくりして引っ込んじゃわないかな? イッテツはひとりしか居ないし、今はおれへ構うのに忙しいので後にしてくださ~い!! って……あ、これじゃ割り込んだのはおれの方か。 BIG HUGでぎゅむぎゅむに暖めたらどうかな? とか、もみくちゃにしたら色々考えてることがちょっと紛れて笑顔にならないかな? とか何とか色々考えちゃったりして。お節介? でも寒さに影響されてるっぽいの見てたら放っておけないんだもん、おれ。前もこんなこと言ったような気もするけど、この言葉だって君を暖められると思うから何度でも言っちゃう。オニイチャンの胸はいつでも空いてるからな~~~!! HAHAHA 寒くてぺしょぺしょになってる人、全員おれのコートでぐるぐる巻きにしてハグして暖めたい。友達や家族、全員を暖められるだけおれの身体が沢山あれば良いのに。バーチャルって分身とか出来ないのかな。 ここに辿り着いてこの日記を読んでくれたすべての人が、おれの言葉でちょっとでも暖まりますように!! THE WORLD IS POOOOOOOG |
| 👹🧧 | 03:20・09 Jan 26/♡I used to think it was a misfortune to wake up in the middle of the night. But now, because I can make sure your sleeping face and feel your warmth beside me, I don't think it's such a bad thing.( 夜中に目が覚めるのは不幸なことだと思っていた。でも今は、君の眠る顔と体温を確かめられるから、そんなに悪いことだとは思わないよ。 ) |
私は確かに寂しがり屋ではあるが、実際のところ私に合わせて寝たり起きたりしようものなら、簡単に身体と自律神経がイカれてしまう。なので各位におかれてはどうか私に構わず、己に合わせた健やかな生活を営んで頂きたい。結局皆には健康で居て貰いたいんだ、やっぱりね。私のことは構わず寝てくれ、私は夜に取り残されたってしたたかに朝を迎えるから。それよりも私はぐっすり寝た君の満足げな‘おはよう’が聞きたい。 今の私はそこそこハイな時期に入っているのでチャットの返事はクソ早いし、通話を繋げようものなら一生喋っているし、一食の為だけにフッ軽で外出するし、作業もマルチタスク上等でガンガンこなしている。これがずっと続けば良いのだけどね、まァそんな都合の良いことはない。今夜は映画を二本立てで観た。ぶっ通しで約6時間だ。正直一気に情報が入ってきた所為で内容に関する記憶はめちゃくちゃだが、同時に振り回されまくった情緒の記憶はちゃんと残っている。感情は刻み込まれるものだからね。良いものを見た。 移転前の投稿をいくつか手を加えて再投稿したいと考えているのだけど、言葉に愛着はあるものの、ログを遡るのは些か骨が折れる。懐古も大切だが、今生まれ続けている新しい言葉を発信し続ける方が案外私の性には合っているのかもしれないな。 年末から年始にかけてずっと夢見が悪く、寝るのが少しばかり億劫になっている。よくもまァこんなにも私のトラウマや嫌悪感を与えるものばかりご丁寧に揃えてきたものだ。しかも泣き喚くほどではなく、じっとりと嫌な汗をかいて目覚めた時に気分が少し重くなるくらいのもので。 昨夜は‘人間にも化物にもなれない憐れななり損ない’だとか何とか言われたらしい。逆だろ、人間と鬼の双方の魅力を持つ非常にお得な優良物件なんだよ、私は。気分は良くなかったが、結局は自分のポテンシャルの高さを再認識したようなものだった。さて明日というか今日だが、朝、良い目覚めを迎えられるだろうか。 ※追記 一先ず移転前に投稿していた作品の幾つかを少し手直しして‘LORE’として再投稿した。以降も私の過去の話や今の話……私自身の背景や人物像を深める物語として不定期に投稿していければと思っている。これらの何処までが実際に経験したことなのか、フィクションなのか。読者の君達は、その曖昧さを楽しんで。 |
#01 MEMORY LORE自分が腕を奮った料理が二人分並ぶテーブル、同じ食器で同じものを食べる何の変哲もない食事風景。向かい合って談笑する合間に手元のカトラリーが小気味の良い音を立てて、一口また一口とお互いに目の前の食事を食べ進めていく。美味しいと喜んでくれる君の表情に思わず私も口元が綻んだ。君の為になら、私はどんなものでも作ろう。 さて私は残り一口、そろそろ食べ終わるかななんて思いつつ目線を上げると、君もちょうど皿の上は最後の二、三口のところまで来ていた。どうやら気に入ってくれた様だと嬉しさを抱えつつ、自分も残りを食べてしまおうかとフォークを傾げたところで、思わず動きが止まる。視線が釘付けになった。 君の繊細な指が添えられたフォークでぶつりと刺された肉から肉汁が皿の上に溢れて、持ち上がるのを目線で追っていくと、あ、と普段慎ましやかな唇が開く。白い歯が覗いて君の濡れた口の中が少し見えると、急に血液の温度が上がったかの様に心臓がどくどくと大きな音を立て始めた。口元へ運ばれた肉の弾力ある表面に歯が立てられると、繊維が噛みちぎったところからぶちぶちとちぎれて口の中へ迎え入れられていく。覗いた舌のクッションが無抵抗に運び込まれる肉を掬い上げて、口が閉じると咀嚼する度に唇に残った脂がてらてらと照明に反射して細かく光り、その光景が異様に淫靡に見えた。私の手で作り提供したそれを君は一頻り味わい、呑み込めば薄い喉が僅かに上下して。満足した様に脱力して緩んだ唇が無防備に薄く開くと、隙間から湿った息が零れる。君はそこで漸く私の視線に気づいたのか私の顔を見つめて、どうしたの、なんて気の抜けた不思議そうな表情をした。 我に返った私は取り繕う様に、いや、美味しそうに食べてくれて嬉しいよ、なんて言いつつフォークを掴み直し、自分の皿の一欠片を口へと導く。自分の喉が呑み込む時の音とフォークを皿の上に置く音がやたらと大きく聞こえて、もう食事は終わったと言い聞かせる自分の脳内の声を押し退ける様に、頭の中にはさっきのたった数秒の光景がgif画像みたいに何度も繰り返していた。‘ご馳走様でした。’君が口元を拭いながら満足げに微笑む、互いの皿は既に空になっている。然し目にしたそれは私の隠し持つ欲を掻き立てるには充分だった。自分の口内にじゅわりと唾液が溜まるのを感じて口角が上がる。 毎日、毎日の、食事という欲深い儀式の時間。私の作った料理で君の身も心も満たされていく、まるで君の身そのものを私が作り上げているかの様な感覚に酷く陶酔した。君は今日も私の作る料理を無防備に味わい、咀嚼し、胃に収めていく。昨日も、一昨日も、今日も、そして明日も。ただ私に与えられるが儘を享受する姿が、愛おしくて仕方が無かった。 私を満たすのも君である様に、君を満たすのも私だけが良い。こんなドロリと口内に溢れた欲望はどうしてくれよう。君の腹の底が見えない。尚私に染められることを選ぶか、この後ろめたい情欲を突き返すようになるのか。固く結んだ口の中で密かに喉へと呑み下し 胸中へとしまい込んで、嗚呼、美味しかったねと素知らぬ顔。欲に任せて溢れそうになる言葉の、代わりに口から出たのは “ご馳走様。”……さて、明日は何を作ろうか。 |
#02 MEMORY LOREベッドサイドに放っていたスマートフォンが小さなアラーム音を奏でるのに導かれる様瞼を持ち上げると、感覚だけで伸ばした片手は端末を掴み片手間にロックを解除する。立ち上がる画面には今の時間と共に幾つかのメッセージを知らせる通知がポップアップで立ち並んでいた。未だ微妙に目覚めていない頭の儘ベッドから降りると、渇いた喉に水を一杯流し込み、カーテンを開ければ薄く差し込む陽射しに目を細める。晴れている日の方が少ないくらいだが、なけなしでも朝の日の光を取り入れたいという心持ちは大切にしていたい。 キッチンへと向かい片手間に電気ケトルのスイッチを入れると、食パンにチーズを一枚、ボウルでコンビーフとコーンとマヨネーズを混ぜたものを乗せて胡椒を少々、其の儘トースターに突っ込んだ。本当は目玉焼きかサラダくらい付け合わせが欲しいところだがそれはまた別の機会に。 待つ時間も惜しく洗面台へと向かって鏡越しに自分の顔を見る。ぼさぼさの頭を掻きながら歯を磨き口をゆすぎ、顔を洗った勢いの儘濡れた手で長い前髪を上げた。シェービング剤を泡立てて髭を剃り洗い流してから、化粧水で保湿して軽いベースメイクを済ませる。立てかけてある小筆を取り仕上げに目尻へ丸く紅を入れた。 部屋へ戻ると、腹立つ男の顔が口角を上げているRobloxの愛用マグにミルク、砂糖、ティーバッグを流れ作業で放り込み、既に沸き終わって少し時間の経っていたお湯をマグに注ぐ。紅茶の香りが手元から部屋へと広がっていくのと感じつつ一口啜ると、徐々に頭が覚醒していくのを感じた。 服を着て、髪をおおまかに梳かし、トーストを齧りながらスマートフォンを片手に今日のスケジュールとメッセージを確認する。朝一番のアラームからおおよそ一時間程度が経っていた。外出にはまだ少し余裕はあるが悠長にはしていられない。紅茶で残りのパンを流し込み口元を拭うと、鞄の中身を数えてからスマートフォンをポケットへ押し込み、足早に家を出た。 ‘───じゃあ、いってくるよ。’ |
#01 FOLK LORE私がひとつの国を構え、522の民をその腕に抱えていた頃の話。当時十を過ぎたばかりの少年が、私の元を訪れ自慢げに見せてくれたものがあった。冬の凍えるような寒い時期、山間部で収穫した木の皮を使い。これまた凍えるような水で作った和紙を一折り一折り丁寧に折り畳み。それは帆を張る一艘の船を形作っていた。 「御館様、これを見てください。どんな荒波をも越えることが出来る、大きく立派な船です。ぼくはこの船に乗って、外ツ国の海へ出ます」 ──立派な夢だ。海に出て、お前は何をしたい? 「今のぼくには届かない外の海は、もっと沢山の魚が居るでしょう。ぼくは海に出て、集落で食べ切れないくらいの魚を持って帰って来るのです。きっと見たことも無いような魚に巡り会える筈です。一番大きくて輝きの強い魚を、御館様に食べさせたいのです」 ──そうか、大海原に出てもお前は、ちゃんと帰ってきてくれるのだね。 「もちろんです。ぼくの家はここです」 そう誇らしげに言う彼の頭をくしゃりと撫でると、彼は嬉しそうに笑ったものだった。 一度彼の手から私の手に渡った紙の船を、私はその場で彼に返した。彼は私にあげようとしていたようだけれど、私は敢えて受け取らなかった。 ──それはお前が大切に持っておきなさい。私の手元に置いたら、あの宝物の数々のように、この城から外に出すのが惜しくなってしまう。お前はその船に、海を見せてあげるんだ。 彼は大切そうにその船を両手で持ち、力強く頷いた。 しかし、結局その船は、この集落の沿岸より先の海を見ることは無かった。 私が集落にもたらしていたのは、絶対的権力による独裁、そして信仰だった。どんなに気候や自然が彼らに牙をむこうとも、彼らの安寧が保たれていたのは、そこに必ず私が居たからだった。悪魔の名を持つ、人ならざるもの。圧倒的な力を約束した偶像。無論、私が出来るあらゆる手は尽くしていたし、常に彼らの心に寄り添い、国を豊かにすることを考えていた。それが彼らとの信頼を育み、生活を、士気を支えていた。この閉鎖的な理想郷は、どんなに権力を持っていたとて、徳川家などという‘いち人間’が手を出して良い場所では無かったのだ。 少年の夢は確かに大きなものだったが、集落の外へ出ることは叶わなかった。それは彼が若くして飢餓や戦乱に巻き込まれたからではない。彼の、私に対する信仰心がそれを阻んだ。彼には欲望が無かった、野心も無かった。ただ、私に喜んで欲しいだけだったのだ。余りにも無垢だった、故に集落の外へは行けなかった。私がそういう国を、人を作っていたのだと気づいたのは、随分後になってからの話だった。 歴史上に、天草四郎という男がいる。彼はたった一人で農民達の士気を上げ、一揆を率いたとされる。然し彼の素性どころか、彼が生きていた痕跡は何一つ残されていない。急に現れ、人々の信仰心を一身に受け、いくさの終わりと共に消えていった幻の存在。当時彼のことを探ろうとした者さえ居なかったのかと不思議でならないが、今ならばその理由がわかる。──必要無かったのだ。彼が偶像としての役割を全うする為には、彼の出自や背景などといった‘野暮なもの’は寧ろ不要だった。人々の心に安寧をもたらし、社会としての一体感を生み、そうして人々を動かす最短の手段は、人智を超えた存在を据えた偶像崇拝だったのだろう。 何の因果か今の私にとっての家は、当時の彼らが決して見ることの無かった世界……海を越えた外ツ国だ。日本語を殆ど忘れ、城も失い、国を跨ぐ際も船を使わなくなってしまった。彼らが今の私を見ても、きっと裏切り者だと石を投げることは無いのだろう。静かに失望するのか、それとも。 偶像は、役目を終えた瞬間に不要になる。私を必要とする国は滅び、民はもう居ない。私は今ただの一人の男として、社会の中で生きている。役目を終えた存在に与えられる、ごく自然な余生に過ぎないのだろうが。 今をどう生きるか時々酷く悩む。まるでこの命の使い方で、贖罪を果たそうとするかのように。……だがきっと、それは根本から間違っている。この身に役割をもう一度。ただ求められたいだけなんだ、人から。役目を終えたと分かっていても尚、誰かから存在を望まれることを願っている。 だからこうして今夜も語る。誰も知らない、遠い遠い昔話を。 |
#02 FOLK LORE辺りの雑草と肉と布切れが燃える焦げた臭い、硝煙臭さと無作為に血を吸った刀の錆びた鉄臭さが充満して己の嗅覚をバグらせている。耳を刺す様な人々の罵声と馬の嘶き声、鉄同士のぶつかる甲高い金属音、破裂する様な銃声と爆発音が錯綜して鼓膜を打ち付けるものだから既に方向感覚も判らない。何十もの銃口、畏怖と憎悪と覚悟とに満ちた目がずらりと此方を見詰めている。この惨状は俺の所為で引き起こされたと思っているのだろうか、数多の命が散ったのも俺の所為だと言いたいのだろうか。恐れをなしてブレた銃弾が肩を穿ち、頬を掠める。身体の奥底の方から沸々と湧き上がる感情か魔力か、何かが理性を溶かす。脊髄が皮膚を突き破って出て来ようとする様な熾烈な熱さと痛み、全身の皮膚の下で凸凹に浮き上がる血管がマグマと化した血液を流し激しく脈打ち、直後バリバリと稲光の様な音と共に背中を裂いた黒い骨が禍々しくも赤い翼を縁取って空気を切り裂きながら現れた。鋭い翼の一振りで土埃がごうと舞い上がって、近くで燃えていた草木の疎らな火が風を受けて一瞬にして燃え広がる。耳をつんざく怒号、悲鳴、敵味方など前後不覚、あんなにも尊び慈しんだ小さな命達が、自身の腕の一振りの抵抗だけで容易く幾つも立ち上がっては散ってを繰り返していく。鋭く生え揃ったおぞましい牙の覗く口から出るのは、火口から噴き出す様な熱い湯気の如き息と、地鳴りする唸り声ばかりで何一つ言葉を成すことは無く、夕日を背負い炎の中佇む怪物は橙色に燃え上がっている様に見えた。 “御館様。”舌足らずで無垢な声色、目の前に一人の少年の姿を見た。戦場に居る筈の無い柔らかく幼い命、小さな手がこちらに伸びる。俺の愛する姿、聞きたかった声、それに応えようとした刹那、“旨そうだ。”───紙に零した液体の様に脳裏を一気に染めていく感情に目を見開いた。喉奥が締まって上手く呼吸が出来ず、破裂しそうな程に早くなった己の鼓動が煩く、身体中に冷や汗が噴き出す。あの怪物はまさか、やめろ、やめてくれ、今俺に触るな、来るな! 来るな! 来ないでくれ! 頼むから俺から逃げて、逃げろ、逃げろ、早く早く早く!! ……這いずる様に一歩また一歩と退くと突如踏み外した先に強い浮遊感に襲われる。真下の地面がひび割れて、追い詰められた崖から足元が崩れたのだと気づいたのは己が既に宙に投げ出されてからだった。空をかいた手を掴もうとしてくる小さな魂の幻覚を、切り裂く様に必死で振り払えば、視線の先に映っていた微笑みが崩れていく。誰か助けてくれ、誰も俺に触るな、相反するふたつの叫びが脳内を恐怖の色に支配する絶望と共に、目の前が暗転した。 地を揺らす様な自分の絶叫で目が覚めた。身体中びっしょりと汗をかき枕に散らばった長髪は所々肌に張り付いて、シーツがまるでおねしょでもしたかの様な酷い濡れ方をしている。薄く開いた唇の間から心臓が今にも飛び出しそうだ。上半身だけを起こし恐る恐る投げ出した片手へと視線を下ろすと、ただの人間の男の手がそこにはあった。安堵に細く長く息を吐き乍乱雑に前髪を上げる。枕元の小さな液晶へ手を伸ばす───俺が今何処に居て、どの時間に生きているのか、それだけを今はただ確かめたかった。 |
#03 MEMORY LOREその時の気分は最悪だったが目覚めだけはやたらと良く、滲んだ視界が部屋の輪郭を捉えるまでそう時間は掛からなかった。往生際悪く布団の中にもぞもぞと身体を埋め再び目を閉じてみるも、数秒と経たずに居心地の悪さにあっさり白旗を上げれば、今の時間を確認する為に身を捩り片腕を伸ばした。枕元のスマートフォンを軽くタップして画面の眩しさに目を細める、漸く4時になるかならないかくらいの明け方。二度寝をするには余りにも中途半端なその時間を前に、起床を告げるかのように睡眠アプリを解除した。夜中の間に録音された寝言やら物音やらが音声データとして画面上に羅列されるも今はそれを聞く気は起きず、行儀悪く布団をばさりと片脚で蹴り上げると、布団の外と中の温度差にスウェットの下で素肌がぶるりと震えた。 携帯と鍵だけをポケットに突っ込み厚手の上着を一枚羽織って、玄関に放り出していた靴を引っ掛けると何の躊躇いもなく部屋を出た。エレベーターからロビーを抜けて外へ、未だ外は暗いし顔を撫でる空気は死人の手が触れたかの様に冷たくて、一瞬の後悔が過ぎるも足は動きを止めることは無かった。人っ子一人見当たらない道をポケットに手を突っ込んだ儘ずんずんと歩けば、ほんの数分足らずの場所にコンビニがポツンと一軒建っている。薄暗い景色の中で主張する煌々とした明かりに目を細める、哀れな虫がおびき寄せられるかの如く無防備に自動ドアへと吸い込まれた。 ──ホットラテとおにぎり。食べ合わせだとかそんなのはどうでも良くて、ただ目に付いたものだけを買った。いつもならレジ横のチキンも買うところだったが、今は肉を食べる気分じゃない。それよりももっと素朴で優しい舌触りと食感を胃に入れたかった。コンビニを出た駐車場脇の車止めに寄り掛かり、包みを剥いて齧り付く。あっという間に温くなり始めていたラテを開け喉へ流し込む。余り食べ合わせには向いていない組み合せだったかもしれない、だが今の自分の気紛れな行動と胸中に纏わりつくわだかまりのちぐはぐさには随分とお似合いだった様に思えた。咥内に残っている甘ったるさごと冷えた空気を吸い込み、細く長く吐き出す。乾燥した凍てつく空気が喉を通ると、喉奥がヒュウと細く鳴いて、軋み、直後一人で盛大に噎せた。煙草の煙を幼稚に吸い込んでしまったかの様な恥ずかしさを憶えるも、自分の咳き込む声は近くの建物に意味も無く反響して空気に溶けていく。咄嗟に辺りを見回した自分が余りにも馬鹿らしく思えた。 顔をあげると、気付かないうちに周囲が明るくなっていたことに気づく。建物と建物の間に太陽が顔を出し、ただ義務的に、もしくは必然的に今日という日を始めようとしていた。冷え切った空気の中に鳥の鳴き声が聞こえる、目の前を一羽のカラスが通り過ぎて、建物の間へ吸い込まれる様に向かって真っ直ぐ飛んで行った。黒い体に反射して、朝焼けに燃えていたあの赤茶けた羽がやたらと目の端にこびり付いている。きっとあの火が燃え広がるまでそう長くはかからないと思った。──俺は少しづつ静寂が朽ちていく感覚を肌で感じつつ、ゴミしか入っていないビニール袋を片手に立ち上がると、元来た道をまた辿るように歩き出す。背中に徐々に強くなる陽の光を感じながら。薄暗い空気に置いてきたわだかまりはきっと直ぐ駐車場脇の灰となるだろう、もう振り返って確認する必要なんてない。 |
#04 MEMORY LOREジャズミュージックに橙色のライトが踊る。中央の小さな舞台では、ドラムの金具やサックスのボディ、ピアノの鍵盤が照明をランダムに反射して、薄暗い店内に光を散らしていた。私はビールグラスを片手に、踊る人々や話し込んでいる人々の合間を掻い潜って簡素な丸テーブルを見つけると、一口ぐいと煽ってからテーブルに肘をつく。冷えた炭酸が喉を通り若干の苦味だけが舌に残って、5.5%の悦楽が身体中に染み渡り、体温が少し上がるのを感じた。 ひと仕事を終えて行きずりのパブに入り、そこで知り合った(見た目年齢だけなら)自分より年上であろう面々と軽く雑談に興じていたのが1時間から2時間くらい前の話。然程広くも無いローカルな店の様だけど、少々古めかしい生演奏BGMも、客の年齢層が全体的に高めなのも自分としては割と気に入っていた。放課後の集まりみたいな若い衆が多い場所だと、賑やかすぎるし、少し前の自分を見ている様で落ち着かない。 社交の場から一旦離れひとりになって数分、“ここ、空いてる? ”……耳に飛び込んできた涼やかな声で我に返る。丸テーブルを挟んだ向かい側、シンプルなドレスに身を包んだ若い女性がひとり立っていた。空いているよ、そう答えると彼女はひとつ礼を言ってこちらへ向き直る。 「一人?」 「嗚呼。君も?」 「勿論。一人で楽しむつもりだったのだけど、少し誰かと話したくなって」 「それで手持ち無沙汰そうな私に声を掛けたってわけだ」 「ふふ、そうかもね? ……なんて、貴方を見つけて気になったからよ。こういう場所は慣れない?」 「君の視線を奪えたようで光栄だな。いや、そんなことは無いよ、パブにはたまに来る。数分前までそこのご夫婦達やそっちのメンズ御一行と楽しく話をしていたんだけれどね。今は一人になってしまって、ちょっと中弛みしていたところ」 「じゃあなにか新しい刺激が必要?」 「そうだな、だから君が声を掛けてくれてちょうど良かった」 「あら、嬉しいこと言ってくれるのね。逆ナンなんて嫌な顔されるのも想定内だったのに」 「まさか。無下にする奴がいたのだとしたら、きっとパブ初心者で社交に慣れていないんだろう。寧ろ君みたいな女性、その辺の男が黙っていなさそうだが」 「どうかしら、少なくとも此処には私にちょっかいかける人はいなかったわ」 「じゃあ君の店選びが上手かったんだね、君には見る目があるんだろう。それとも運が良かっただけ?」 「そうね、貴方に会えたから、運が良かったの方かも」 彼女はグラスを傾ける。中身も半分をきっていて氷ももうだいぶ溶けている、揺れる度に喧騒に紛れて涼やかで小気味の良い音が鳴った。そこからは他愛も無い話を続けて、グラスのビールはあっという間に残り数口にまでなった。最初こそ多少の緊張感はあったものの、彼女は第一印象に対して快活で話題にも富んでいて、会話は思っていた以上に盛り上がった。背後で流れるジャズが怒りだしそうな最近話題の音楽の話や、好きな食べ物の話、気づけばこの間参加した親戚の結婚式の話なんかもしていた。 何十分そうしていたのか、2人のグラスが底をついた頃。談笑していた彼女がテーブル越しに身を乗り出した。“この後空いてる? 貴方ともっとお話したいわ。”ほろ酔い気分で聞くには、余りにも魅力的なお誘いだった。 私は悪戯を思いついた様に口角を上げる。少しおどけた様に笑いながら言った。“ではこの後、映画を見ながら飲み直しといこうか。それとももう少しここに居る? ”……彼女は一拍遅れてから言葉の意味に気づくと、ころころ鈴が鳴る様に笑った。“大胆なのね、貴方って。” “君が誘ってくれたから、もっと話したいって思っただけだよ。” その言葉を合図に、彼女はほとんど空になったグラスを持ち直した。私もコートを肩に羽織って、グラスを手に取る。気まぐれなサックスの音色が、私達を店の外へとそっと背中を押した。 |
| 👹🧧 | 11:26・13 Jan 26 昨日は朝早過ぎ、寒過ぎ、無駄な時間を過ごし過ぎの三重苦で早朝から気が狂いそうになっていたが、日中そんな荒んだ心でも寝る頃にはそこそこ心身の安寧を得ることが出来た。やりたいことに着手する前にやるべきことだけやって寝てしまう現状が非常にストレスになっているが、それでもヤケクソな刺激を求めることなく今のところは正気を保っていられている。我ながら外面を良くするのが随分と上手くなった。 PokemonGO仕事の合間で隙あらばpokemonGOを開き、クリスマスチョッキデデンネを捕獲しまくっていた年末。一方年が明けてからはホリデーイベントが始まっているものの、パーティーハットピカチュウが思ったように捕まらない。出来れば期間限定のホリデーポケモンは一通り手に入れたいところ。本当に可愛いんだよ。それに、おめでたい格好のこの子達を見て、もう少し年始の浮かれ気分の余韻を噛み締めていたい。1月ももう半分過ぎただなんて信じられない。時の流れは早過ぎる。 ところで最近。自分の機嫌をとるためと言い聞かせ自分に小さなご褒美を度々与え続けていると、段々感覚が麻痺してきてキリがないと気づいたのでやめた。何なら今は少しストイックな方が落ち着くまである。たまの贅沢はまだ先でいい。 |
| 👹🧧 | 23:59・13 Jan 26 Nothing gives me greater pleasure than to hear that time seems to pass quickly. (時の流れが早く感じる、と言われることほど嬉しいこともないな。) |
| 👹🧧 | 14:35・16 Jan 26/♡Amidst our busy lives, hearing others talk at length with their partners makes me think how lovely it must be to spend so much time with someone you like. It's not that I don't feel a touch of envious admiration.Yet I never feel tempted to cheat on them. Everyone has their own optimal pace. It's precisely at times like these that I realise how fortunate I am to have such a wonderful person as my partner. ...That is, the happiness of having no room for distractions. (忙しい日々の中 恋人と長く語り合っているという他者の話を聞いて、好きな人とそんなに長い時間を過ごせるなんて、なんて素敵なことなのだろうと思う。羨ましく思う気持ちが無いわけじゃない。 でも、だからとて他の人に目移りしようという気は微塵も起きない。誰にでも適切なペースというものがある。まさにこうした時こそ私は、こんなにも素敵な人をパートナーに持てて良かったと、改めて実感するんだ。即ち、余所見の余地すら無いことへの幸福を。) |
| 👹🧧 | 21:28・16 Jan 26 冬用の少し生地が硬い厚手のコートを着て寒い外を歩くと、より自分がイケてる男になったように感じる。今の自分ならば目の前にレッドカーペットが引かれても颯爽とした足取りで歩き切ることが出来るだろうし、行き先を軽薄なナンパに足止めされても鼻先だけであしらうことが出来るだろう。そう、コートを身に纏うことが私を強くしてくれる。 人生における、自分を強くしてくれるものを大切にしてね。それは武器かもしれないし防具かもしれないし、魔法や経験かもしれないし、仲間や家族の存在かもしれない。どんな形だろうと、人生で立ち塞がるものを打ち倒すには、まずは人生の主役たる自分が強くならないといけない。その為に力を借りられるものを、何でも借りてみることは悪いことじゃないよ。君を助けてくれるものを信じて、自分の力を信じて。そして自分の道を歩く時は、コートで少し分厚くなった肩で風を切って歩こう。大丈夫。 It'll be alright. It'll definitely be alright. 今日は些か筆のノリが良くないので、ここいらでお開きに。Have a good night. |