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Diary : Sole / Lune / Terra / Caelum
※表紙は「キャラクター名(ジャンル名)」で統一して下さい。※
38: V/O/X/A/K/U/M/A(2/4/3/4/E/N)
2026-03-04 18:31:15


そろそろ真面目な投稿をしたいと思いつつ気づけばとうに3月となって4日が経過している。時間の流れはあっという間だ、特に今の私にとっては。配信をして寝てまた起きて配信をして……最近はもっぱらこんな調子だ。配信以外のことを考えられなくなっている。頭のリソースをそれ以外のことに割けないんだ。今日は私にしては内容が薄く短い投稿となるかもしれないが、まぁ年寄りは元々話が長いと揶揄されがちだ、たまにはこういうのも悪くはないということにしておいてくれ。

◆◆◆

​今朝、配信前にシンクの中を片付けていたとき、愛用していたグラスがシンク内へ滑り落ちて割れてしまった。確かこれは、私が大学を辞めて配信業に専念しようと決めた直後くらいの時期に自分で買ったものだった。グラスとしては低価格帯のものだったが割と愛用していて、特に量産ブランド赤ワインの澄んだボルドーがよく似合う子だった。いや、これは決して貶しちゃいない、むしろ逆さ。それくらい私の生活に馴染みきっていた、お気に入りの子だったんだ。

​形あるものはいつか壊れる──まァ、上記のエピソードから始まれば、当然流れでこの言葉が出てくるだろうね。壊れた時の感情とは如何様に。落胆? 悲しみ? 後悔? いっそ清々しいという場合もあるかもしれない。
今回私が瞬間的に感じたのは、この運命をまるで既に予感していたかのような……即ち「納得感」だった。私生活の一部分が近い内に私の手を離れる、規則的な日常のどこかが欠けて新しいものと替わる……何となくそんな気がしていた。今はそういう時期なのだと感じていた。そのひとつが、たまたまこのグラスだったんだろう。

​今年に入ってから私を取り巻く環境や心持ちは変化した。一方で、私自身が特に大きく何かが変わったわけではない。だが、配信活動を始めてから幾年、引越してから幾年、日記を書き始めて幾年、などと様々な事象において、今年は何となく「心機一転」という言葉が当てはまるような気がしている。古いものと新しいものが入れ替わる時期といおうか。

それをまず最初に痛感したのは、日記が新しくなったこと。そして今年に入って間もなく炊飯器が壊れた時。この子もグラスより少し長いくらい、4年か5年くらいの付き合いだった。次いでプライベートで使っていた鞄が壊れた時。この子は……何年だったかな、でも修理を繰り返して革も手に馴染んでいて、結構長く使い込んでいた。そしてグラスが割れた時。嗚呼、あと壊れたとは違うが、デスク周りや書類棚も新調した。今年に入ってから日常が確かに、新しく塗り替えられていた。だから、既に前触れはあったんだ。平坦な日常にヒビが入り、ポロポロと欠片が落ちている予感が。

​思えば、彼らが私の元へやってきた時期は、どれも転換期の真っ只中だった。配信一本で生きていくと決めたあの日の不安や決意、新しい環境での生活に必死だったあの頃。彼らは、そんな私の揺らぎを一番近くで受け止めてくれていた。鞄の革が柔らかくなった分だけ私はこの土地に馴染み、グラスでワインを仰いだ数だけ私は孤独や陰鬱を飲み下してきた。彼らが壊れたのは、きっと「もう、自分らが支えなくても大丈夫だ」と私に伝える合図だったのかもしれない。私の歩みが、道具の寿命を使い切るほどに濃密な時間を積み重ねてきたという、何よりの証明。

​形あるものはいつか壊れる。

​けれど、それは決して失っただけではない。壊れたものたちが去った後には、ぽっかりとした喪失感、けれど程よい空白が残る。次に手にするグラスはどんなワインを輝かせてくれるだろうか。新調したデスク周りは、私の配信をどう変化させ、どんな思い出を刻んでいくのだろうか。
──これは破壊ではなく、変革だった。そう確信した今、私の心は驚くほど静かだよ。古くなって抜け落ちた空白に、次はどんな形が嵌まるのだろう。私は今 馴染みきった過去に「ありがとう」を告げて、新しい日常と共にまた数年後の自分に会いに行く。

◆◆◆

壊れたもの、失くしたもの、それらはきっと自身の役目を終えたから手を離れたのだと。私はいつもそう思えてならない。過去を悲観的に捉え、空白を空白のままにし続けることもまたひとつの選択肢だ。そういう過去もある。だが今の私は、空白にあったものを憂いることはあれど、思い出ごと供養して、新しい形を探したいと思っている。This is life. これもまた、人生。

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